大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和30(オ)524 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告理由について。

原審は、被上告人とDとは昭和二八年五月以降、別居生活をなし、同年一一月中

婚姻関係を解消したものであること、本件土地については、右別居生活をしていた

Dが、被上告人不和の間に、被上告人の印章署名を偽造し、これを使用して右土地

を売渡担保として上告人より金三〇万円を借受け本件登記を了したものであり、右

行為に際しDが使用した被上告人の印鑑、印鑑証明、委任状はすべてDの偽造した

ものであること、を認定しているのであつて、右認定は原審挙示の証拠から十分肯

認できる。所論は、Dは、当時被上告人の夫として家事その他一切を担当処理して

いたものであり、かつ前記各書類は偽造でないというけれども、いずれも単なる事

実誤認の主張であるから、適法な上告理由にならない。而して、原審認定の事実関

係の下においては、未だ上告人は、Dに本件売渡担保契約締結等の代理権があるも

のと信ずべき正当の理由を有したものといい得ないことは明白である。論旨引用の

判例は本件と事実関係を異にし本件に適切でない。されば、原審が、上告人の民法

一一〇条の抗弁を排斥したのは相当であつて、論旨は採用に由なきものである。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

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裁判官 奥 野 健 一

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